自然災害発生時に支援活動する団体の活動は?その取り組みをご紹介。

自然災害発生時に支援活動する団体の活動は?その取り組みをご紹介。


地震、台風、豪雨、土砂など。
過去にテレビや新聞などで、日本で起きた数々の自然災害を目の当たりにしたことでしょう。また大震災によって、多くの人や家屋が被害を受けたのも事実。
そんな中で

「日本はどうして、こうも自然災害が多いの?」
「日本ではどんな災害支援をおこなっているの?」
「なにか私たちにできることはないの?」

と疑問を抱いていた方もいるのではないでしょうか。
当記事では、日本で起きた自然災害の一例から他国と比べて発生しやすい原因に加え、災害支援に関わる組織とその活動内容まで詳しく紹介しています。これから災害支援に携わりたいと考えている方も、ぜひ一読参考いただければ幸いです。

 

目次

1.日本の自然災害
 ・自然災害の種類
 ・直近の災害
2.日本で自然災害が多い理由
3.災害時の支援活動
4.災害支援を行う民間団体の活動
 ・災害時
 ・平常時
5.まとめ

 

1.日本の自然災害

私たちが暮らす日本は、何年も前から「自然災害が多い国」と言われています。自然災害とは「自然現象によって、人の命もしくは社会的活動に被害が生じる現象」です。
たとえば「地震」はその一つです。
2012年〜2021年を対象にした調査によると、世界全体で起きているマグニチュード6(M6)以上の地震は「1391回」で、そのうち日本での発生は「165回」。世界全体の約1割を占めていることになります。数字で見ると、いかに多いかが分かります。

参照元:「河川データブック2022」より(国土交通省)
※アメリカ地質調査所(世界)と 気象庁(日本)をもとに作成された資料

 

自然災害の種類

また、自然災害は地震以外にもさまざまな種類があり、日本においては何かしら大規模災害が起きていることも分かっています。

自然災害の種類

・地震
・台風
・津波
・洪水
・火災
・豪雨
・土砂
・豪雪
・猛暑

1つの自然災害の例として、過去に日本で発生した「大規模地震」を具体的に見てみます。


阪神淡路大震災(1995)
1995年1月17日、淡路島北部を震源地とした最大震度7(M7.3)の大地震が起きました。この地震で豊岡、彦根、京都では震度5、大阪、姫路、和歌山などで震度4を観測しています。阪神淡路大震災は、私たち日本国民が大地震の恐ろしさを知るきっかけとなりました。

この大震災によって、死者6,434人、負傷者43,800人と「人的被害」に加え、住宅被害が52万棟、非住家が約5800棟、約260万軒の停電など、多くの人々の生活環境に被害をもたらしています。
建物に関しては、全半壊した住宅以外の建物の15%が公共施設(行政の庁舎や学校など)という記録も出ています。
参照元:防災情報のページ「災害史」「事例集」より(内閣府)

同時に、阪神淡路大震災では多くの人が支援に携わりました。
NPOを通じたものを含め、全国から「180万人」がボランティアに参加。県外者が6割以上を占めており、中でも個人のボランティア活動が多く、さらに初心者ボランティアも多かったために、その対応に翻弄される例もありました。
阪神淡路大震災では、ボランティア団体やNPOが数多く生まれ、のちに1995年は「ボランティア元年」と呼ばれるようになりました。
また団体が簡易な手続きで法人格を取得する道を開くための「特定非営利活動促進法(NPO法)」、被災自治体の社会福祉協議会(社協)による「災害ボランティアセンター」など、現在の災害支援活動およびボランティア活動の促進にも密接に繋がっています。


新潟県中越地震(2004)
2004年10月23日には、新潟県中越地方を震源地とした震度7(M6.8)の大地震が発生しました。この地震では、人的被害の「死者68人」「負傷者4805人」に加え、住宅被害は全壊が3175棟、半壊が1万3810棟、一部損棟が10万5682棟、ピーク時の停電が「約27万8000棟」など、建物や家屋にも大きな被害がでました。
また被災地では約9000人以上の人々が仮設住宅での生活が続き、被災後のストレスや疲労が原因となり、高齢者の死亡が跡を絶たなかったのも中越地震の特徴と言われています。
参考資料:「平成16年(2004年)新潟県中越地震について(内閣府)」より


東日本大震災(2011)
2011年3月11日には、三陸沖を震源地とする日本における観測史上最大のM9を記録した「東日本大震災」が発生。
宮城県では最大震度7が観測され、岩手県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、でも震度6の地震があり、多くの人や建物に被害を加えました。

国土交通白書によると、「死者19747人」「行方不明者2556人」に達したと報告されています。
また発生当初から次々と余震が発生したのも、東日本大震災の大きな特徴といえるでしょう。内閣府の報告書では、2011年5月31日までに最大震度6強が2回、最大震度6弱が2回、最大震度5強が6回、最大震度5弱が23回、最大震度4においては135回を観測したと発表。
さらに、地震で発生した巨大な津波が「東北・関東地方」の太平洋沿岸部を中心とした各種インフラ(電気や道路)や住宅などを破壊。住宅被害は、一部損棟をあわせて1,154,893棟にも及び、住宅や民間企業施設への直接的被害額は約16.9兆円と推計され、阪神・淡路大震災の1.7倍以上となりました。

被災地での捜索活動や救援・復興にあたって、自衛隊は10万人以上、また警察や消防などは8.2万人以上が派遣されています。
ボランティアに関しても、民間団体やボランティアセンターを通じた活動を含め「約550万人」が携わったとされています。

また、発生から11年となる令和4年4月時点においても避難者数は約3.5万人に及びます。
参照元:国土交通白書2021より(国土交通省)


熊本地震(2016)
2016年4月14日に、熊本県熊本地方を震源とした最大震度7(M6.5)の大地震が発生し、2日後の16日にも熊本地方を震源とする最大震度7(M7.3)の地震が発生しました。震度7の地震が「同一地域で連続で発生」したのは、震度7が設けられた1949年以降、初めてのことでした。

さらに、発生から約3ヶ月の間に「震度7を2回」「震度6強を2回」「震度6弱を3回」「震度5強を4回」「震度5弱を8回」観測され、震度1以上の地震はすべて合わせて1888回発生し、被災地や地方の人びとを脅かしました。
政府がまとめた熊本地震の資料によると、人的被害で「死者55人」「負傷者1814人」、また住宅被害では一部損棟をあわせて「約160,000棟」にも及びます。
4月14日の地震は前震とされ、震度は、熊本県益城町では震度7(M6.5)、宮崎県で震度5弱、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、鹿児島県で震度4が観測されました。
そして本震である16日の地震では益城町や西原村で震度7、大分県で震度6弱、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県で震度5強、愛媛県、鹿児島県で震度5弱、鳥取県、島根県、広島県、山口県、高知県で震度4が観測され、熊本地震の影響は九州各県を中心に広範囲に及び、16日朝には避難者数は18万人に上りました。

熊本地震では、政府がすぐに総理官邸に緊急参集チームを招集し、「早急な被害状況の把握」「地方自治体と連携し、政府一体で災害応急対策に全力で取り組む」「国民に対し、避難および被害等に関する情報提供を適時的確に行う」と指示。また災害ボランティアセンターには、約11万人の個人ボランティアが参加。また、様々な専門性やノウハウを持つNPO等のボランティア団体によって、避難所の運営、災害ボランティアセンターの運営支援、支援物資の供給、炊き出しなどが実施されました。


直近の災害

ここ数年で起こった災害の一例は下記のとおりです。1年に1回は起こっていることが分かります。 

年月日災害名主な被災地死者・行方不明者数
平成30年6月28日~7月8日平成30年7月豪雨全国(特に広島、岡山、愛媛)271人
平成30年9月6日平成30年北海道胆振東部地震(M6.7)北海道43人
令和1年10月10日~10月13日令和元年東日本台風関東、東北地方108人
令和2年7月3日~7月31日令和2年7月豪雨全国(特に九州)88人
令和3年8月7日~8月23日令和3年8月の大雨全国(特に長野、広島、長崎)13人

参照元:「令和4年版防災白書」(内閣府)をもとにモノドネ作成

 

2.日本で自然災害が多い理由

なぜ、これほどまでに日本は世界と比べ、地震や台風などの自然災害が発生しやすいのでしょうか。
理由は大きく下記の3つです。
●    場所によるもの
●    地形によるもの
●    気象によるもの
 

場所による要因

地球の表面は、十数枚の岩盤(プレート)で覆われています。人々を脅かす「地震」や「火山」は、この岩盤がぶつかる摩擦ズレによって発生します
そして、日本列島はちょうど4枚のプレートがぶつかる場所にあり、この条件は全世界でも日本だけと言われています。そのため、日本では地震や火山などの現象がよく発生しているのです。
よく知られる東日本大震災も、太平洋プレートと北米プレートの境界で発生した地震です。

また日本列島は、台風の通り道でもあります。
日本より南東に位置する海上では、台風の原型となる熱帯低気圧が発生しやすく、発生した台風は上空を流れる風によって徐々に日本列島へ上陸します。そのため、日本では台風が多くなっているのです。
 

地形による要因

日本は国土面積が狭いにも関わらず、山地と丘陵地が国土の7割を占めています。さらに、山地の多くは大雨などで崩落の被害を受けやすい「急傾斜で不安定な地形」で形成されており、河川も非常に急勾配になっています。
この地形に温帯多雨といった気象が重なり、台風や豪雨などの大雨になると急激に河川の水量が増え、土砂災害や水害の被害も多くなるのです。


気象による要因

日本はアジアモンスーンという地域に位置します。
アジアモンスーン地域とは「モンスーン(季節風)の影響を受ける、アフリカ東岸からインド洋を経て東アジアまでの地域」のことで、日本の梅雨はその影響を受けています。
昨今では地球温暖化やそれに伴う水蒸気量の増加などから、台風や集中豪雨などが増加すると予測されています。台風や集中豪雨が増えれば、前述のように日本は地形の影響を受け、洪水や土砂災害の増加が予測されます。


「異常気象」でも自然災害は発生する

自然災害は、「自然条件」だけではなく「異常気象」も発生の原因としてあげられます。異常気象とは、気温や降雨量などがこれまでにないほど大きく外れた気象状況のことです。たとえば「地球温暖化※」がその一つに挙げられます。

※地球温暖化
「温室効果ガス」が増えすぎてしまい、地球の温度が上昇している状態


温室効果ガスの正体は、おもに下記の2つです。

・二酸化炭素(CO2)
一つ目が二酸化炭素(以下CO2)です。温室効果ガスの総排出量のうち、76%を占めます。
CO2は、自動車や飛行機を動かすためのガソリン(燃料)、電気をつくるときの石油・石炭の焼却、ゴミの焼却などから発生します。
SDGs(持続可能な開発目標)が掲げられた現在は、さまざまところでCO2削減の取り組みが行われています。
たとえば企業なら、再生可能エネルギーの活用(太陽光など)、省エネ、カーボンオフセット、テレワークの導入などがあげられます。
また、個人なら、エアコンの設定温度を見直す、LEDを使う、公共交通機関を使う、買い物にマイバッグ持参してレジ袋は断る、などがあります。

・メタン(CH4)
もう一つがメタン(以下CH4)です。温室効果ガスの総排出量のうち、約16%を占めますが、その温室効果はCO2の23~28倍と言われています。
CH4は、おもに豚・牛などの家畜のゲップ、ごみの埋め立て処分場、天然ガスの採掘などから発生する「炭化水素」のです。
メタン削減の取り組みとしては、再生エネルギーを利用する、家畜がメタンを排出しにくい飼料に変える、水田からのメタン発生量を減らすなどがあげられます。

ここまでのまとめ
・日本では毎年、地震、台風、豪雨、土砂、火災など、人々を脅かす何かしらの大災害が発生している
・他国と比べても災害発生の割合は多く、地震(M6以上)においては世界全体の1割以上を占める
・日本で自然災害が起きやすい理由として、日本列島の場所・気象・自然が大きく関係している

 

 

3.災害時の支援活動

自然災害の支援活動は「国」や「民間団体」など、さまざまな各組織・団体が連携して行われます。
また個人がボランティアとして災害支援に携わることも多いです。

ここでは災害発生時に携わる機関や人びと、それぞれの役割と仕組みを解説します。
災害対応は、「行政」「災害ボランティアセンター(社会福祉協議会)」「NPO等」の三者が連携して取り組みます。


出典:「防災における行政とNPO・ボランティア等との連携・協働促進のための行政職員向け研修テキスト」(内閣府)

 

行政

災害発生の確認と同時に、真っ先に動き出すのが「行政」です。行政とは、国や地方などの行政事務を行う国家機関で、国、被災した都道府県、市町村といった地方自治体がそれにあたります。すべての災害で全ての行政が動くのではなく、災害の規模によって変わります。まずは被災した市町村が対応し、対応しきれないときはその都道府県、それでも対応出来ないときは国の順に対応が広がっていきます。

地方自治体は災害対策基本法において、「住民の生命、身体及び財産を災害から保護する」責務があると定められています。そのため、防災に関する計画の作成と実施の役目を担います。しかし、被災者支援全ての業務を行政だけが行うことはその業務量の多さから不可能なため、災害ボランティアセンターやNPOと連携し、行政の役割を全うします。
災害時における行政に役割には以下のものがあります。

・被災状況等に関する情報収集・情報発信
・災害対処に関する方針決定(災害対策本部の設置・運営)
・被災施設等の復旧、被災者の支援
・支援活動を実施する機関・団体等の活動環境整備
・多様な主体との協力体制の構築


・災害ボランティアセンター(社会福祉協議会)
社会福祉協議会は社会福祉法第109条に基づき、「民間の社会福祉活動を推進することを目的とした民間の非営利組織」です。災害時に災害ボランティアセンターを開設し、ボランティアの力を借りて被災者支援と被災地の復旧・復興支援にあたります(災害ボランティアセンターはNPOによって設置・運営される場合もあります)。
個人、団体に限らず、多くのボランティアはこの災害ボランティアセンターを通じて、被災地のニーズに合った支援を行います。

災害時における災害ボランティアセンターの役割には以下のものがあります。

・ボランティア活動に関する行政・関係機関等との連絡調整
・被災者ニーズの把握
・ボランティアの受付・ニーズとのマッチング
・様々な支援活動・支援への資源などの調整

災害ボランティアセンターを通したボランティアの具体的な活動としては、「被災家屋や私有地の片付け」「清掃作業、ゴミ出し」「がれきの撤去」などがあります。

 

NPO

NPOの特性は「行政では手が回らない」より細かいニーズにも対応できることです。迅速な救援が求められる災害支援においてNPOの存在価値はとても大きなものとなっています。

NPOの具体的な取り組みは、次の「災害支援を行う民間団体の活動」で詳しく紹介します。

NPOはその活動や規模が多種多様であるがために、大きな災害になればなるほど適した活動が難しくなります。理由として、被災者ニーズを正しく把握したり、他の活動団体と協力するためには、行政や災害ボランティアセンターと連携する必要があるためです。そのため最近ではNPOの活動を調整する組織として中間支援組織が必要とされるようになりました。平成28年熊本地震においてはこの中間支援組織が行政・災害ボランティアセンター(社会福祉協議会)・NPO等の関係者を集めた情報共有会議を開き、被災者支援活動に関する情報共有と課題の議論がなされました。
参照元:「防災における行政とNPO・ボランティア等との連携・協働促進のための行政職員向け研修テキスト」より(内閣府)

 

自衛隊(防衛省)

自然災害の発生時には「自衛隊」も動き出します。
自衛隊とは「日本の平和・独立を守ることを指名に掲げ、国の安全を保つことを任務とする防衛組織」です。日本の自衛隊は「防衛省」が管理します。
災害が発生したら、まず市町村長が災害状況の把握を行い、自衛隊の派遣が必要だと判断した場合に都道府県知事へ「災害派遣要請」の要求をし、要求を受けた都道府県知事も必要だと認めた場合、都道府県知事が「防衛大臣」または「大臣が指名する者」へ災害派遣要請を行います。
その後、命令を受けた部隊(自衛隊)が、現地に派遣される流れです。

これまで日本で発生した地震、噴火、豪雨においても、自衛隊の災害派遣活動は復旧・復興に大きな貢献をもたらしています。令和2年度においては急患輸送や消火活動、新型コロナウイルス感染症関連を含め、のべ「531件」の災害派遣活動を実施しました。

もちろん災害支援に対する自衛隊の活動は、出動要請時だけではありません。
国民の防災活動の促進、NPOや社会福祉協議会との連携など、平常時でも多岐に渡る施策が行われています。
参照元:自衛隊の災害派遣に関する実態調査(総務省)

 

 

4.災害支援を行う民間団体の活動

ここまでの内容から、災害支援にはさまざまな機関や団体、人が携わっていることがお分かりいただけたと思います。
一方で、

「もう少し、具体的な活動や実績が知りたい」
「災害支援のNPOを応援したいと思っている」など

自らも災害支援もしくは支援団体に携わりたいと考える方も少なくないでしょう。
もはや社会貢献活動の場では欠かせない存在となった「NPO」。
災害支援に関わる団体の取り組みを、災害時と平常時に分けて具体的に紹介していきたいと思います。

 

災害時(発生から復旧・復興)

まずは災害時、つまり「地震や台風などの発生直後から、被災地の復旧・復興まで」の活動です。NPOは、中間支援組織や行政と連携して動く場合と、団体独自の判断で動く場合の2つに分けられます。また被災地と被災地外、それぞれの支援活動があります。

いずれにしても、NPOは「行政や企業が扱いにくい社会的ニーズに対応できる」といった特性を持ちます。とくに迅速な対応が求められる初動期の活動では、NPOの活動が必要不可欠とも言えるでしょう。
NPOにおける災害発生時の活動には、次のようなものがあります。


・避難所・指定外避難所運営および支援
阪神淡路大震災では、約31万、東日本大震災では「岩手」「福島」「宮城」の3県で約41万もの人が避難所生活を余儀なくされました。避難所は、自然災害によって避難した人々の健康を守り、また生活再建するための基盤ともなります。
避難所の開設は市町村が行います。その後の運営は行政だけでなく、NPO、社会福祉協議会、ボランティアなどが連携し、内閣府の避難所運営ガイドラインをもとに行います。指定外避難所※の運営もおこないます。

※指定外避難所
「一次避難場所」および「拠点避難場所・避難者収容施設」以外の避難所。
簡略すると「自治体が定めている場所以外の避難所」。
指定外避難所に滞在する主な理由として「指定避難所の避難人数が定数を超えている」ことがあげられます。

避難所でNPOが携わる支援は多岐に渡ります。

避難者のニーズ把握は避難者が多ければ多いほど対応する人数を必要としますので、NPO、ボランティアには重要な役割となります。例えば食事はアレルギーや介護食など個人に合わせたニーズ把握をすることで栄養面に配慮することができます。トイレも利用者が多いため、感染症を防ぐための正しい手洗い方法を周知したり、高齢者・障がい者用トイレへの動線の安全性の確保を行います。健康管理では避難者一人ひとりと対応する必要があるため、NPO・ボランティアの多くの役割があります。医師や看護師、行政の医療担当がメインとなって対応しますが、個々人のニーズを聞き取るのは、NPO、ボランティアとなります。

その他にも、洗濯の手伝い、炊き出しなどの食事の準備・配給、生活支援物資の整理や配布、生活支援に役立つ情報の収集と提供など、NPO・ボランティアひとり一人が避難者一人ひとりを配慮し、できることに取り組んでいます。


・子ども・外国人・障がい者・高齢者支援
災害発生直後、子どもや高齢者、障がい者などは「一人で逃げ切ることができない」「避難所にいけない」といった場合があります。こうした方たちは「避難行動要支援者」と呼ばれ、そのサポートをする取り組みがNPOでも行われています。
避難行動要支援者への支援は災害発生時では遅いため、平常時から地域での個別支援計画づくり、避難誘導訓練の企画・運営サポート、福祉避難所の運営訓練の支援、無料オンラインセミナーの開催などが実施されています。


・生活再建支援
生活再建支援は「被災により損なわれた生活の基盤(家屋、住居など)を立て直すための支援」です。一つの事例として、東日本大震災が発生した2011年より「災害ケースマネジメント」が注目をあびています。

災害ケースマネジメントは、被災者が抱えるさまざまな課題の解決に向けて、被災者ひとり一人の状況を調査し、関係者が連携して支援する取り組みです。一般的には、社会福祉協議会や自治体などと協働で実施します。
具体的な支援内容には、避難者を対象とした個別訪問や窓口相談、情報共有、交流サロンの開催などがあります。
日本には、自然災害によって生活基盤に著しい被害を受けた世帯を対象とした「被災者生活再建支援法」が存在します。しかしこの支援法は住宅損壊に対する支援であり、かつ局所的被害や一部損壊は対象外となり、「生活基盤」全般を再建支援する法律とは言えません。つまり、避難者・被災者の中には、支援を得るための手段がないという方も実際に多いため、災害ケースマネジメントによる支援に期待が寄せられているのです。

東日本大震災をはじめ、平成28年8月に発生した台風10号(岩手県盛岡市)、平成30年7月に発生した豪雨(岡山県倉敷市・真備地区、愛媛県大洲市)などで実施されてきました。
参照元:「災害ケースマネジメントに関する取組事例集(令和4年3月公表)概要」より(内閣府)

 

平常時

平常時は、自然災害発生時に向けた防災に取り組んでいます。
人材育成や情報共有、各団体や組織とのネットワーク構築など、その活動は多岐にわたります。

・災害ボランティアコーディネーターの育成
ボランティアコーディネーターは、ボランティアの活動を支援し、その活動や能力を活かしつつ多様な人や組織を繋げるボランティアコーディネーションの役割を担います。
多くのNPOやボランティアが参加するようになった災害現場では、皆がバラバラに動くのではなく、ボランティアコーディネーターによってその活動が調整されています。


・ボランティアのトレーニング
災害現場でボランティアとして活躍するための講習会やトレーニングキャンプの実施、他団体と協力して研修の開催などを行っています。
このトレーニングによって、いきなり災害現場に飛び込んでもボランティアとして必要な動きが出来るようになることを目指しています。


・防災教育の実施
 災害に備えるための心構えなどを学べる研修会や講演会などの開催や、冊子の作成と配布で防災教育を進めています。


・避難所体験や地域の避難訓練の実施
小学校で子どもやその親に避難所体験を提供するイベントを開催したり、地域の避難訓練を地域住民と開催するなどで防災を進めています。
 

・在住外国人向けの防災
地域に住む外国人にも防災に取り組めるように、外国語と簡単な日本語を併記した「地震ガイドブック」の作成と配布をしています。


・団体やボランティアセンターなどとの連携強化
過去をさかのぼり、2011年の東日本大震災の発生初動期では「セクター間による不統一な支援活動」「企業との連携がその場限り」「ボランティアセンターのパンク状態」など、さまざまな課題が残りました。
東日本大震災におけるボランティア参加は約550万。しかし、実際に災害ボランティアセンターを通じたボランティアのは約150万人とされています。

被災者支援が行政の責務と言われるなかで、「行政では対応できないニーズ」「民間NPOでは手が回らない施策」は、その災害の規模や状況に応じて異なります。

平常時から行政・NPO・社会福祉協議会(ボランティアセンター含む)など「他のセクターとの連携強化」は、「顔の見える関係」づくりとして災害NPOでも率先して行うべき重要な取り組みとされているのです。
2004年の新潟中越地震をきっかけに始まった「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(以下、支援Pとする)」は、その取り組みの一つと言えるでしょう。

支援Pは、企業・社会福祉協議会・NPO・共同募金会で協働する組織です。これまで、平常時では「災害支援に関わる調査研究、人材育成や啓発活動」、災害時では復興ボランティア活動への助成の実施を続けてきました。
参照元:内閣府「防災における行政と NPO・ボランティア等との連携・協働促進のための行政職員向け研修テキスト」より

 

5.まとめ

日本の自然災害について詳しくご紹介しました。

私たちが暮らす日本は、場所や気象などさまざまな原因が重なって、自然災害が発生しやすい国であることは間違いありません。同時に、災害時や平常時において、政府や自治体、数多くの民間団体、ボランティアが携わっています。
できることなら「大災害のない未来」が望ましいですが、自然災害を止めることは誰にもできません。いつ、どこで、誰を襲うのか、絶対的な予測はできず、決して他人事ではないのが実情です。
団体をSNSで応援する、寄付・募金する、ボランティアに参加する、プロボノで経験やアイデアを活かすなど、個人でも災害支援に携わる方法はたくさんあります。
また平常時から自然災害に関して意識し、また周囲と共有することも、個人ができる重要な役割といえるでしょう。
 

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