フードパントリーとは?その仕組み、フードバンクとの違いをご紹介

フードパントリーとは?その仕組み、フードバンクとの違いをご紹介


日本では今、18歳未満の子どもの7人に1人が相対的貧困だと言われており大きな社会問題になっています。
本記事では、貧困状態の子どもたちに直接支援を行うフードパントリーやフードバンクについて紹介します。

 

フードパントリーとは

フードパントリーとは何かしらの理由で食品を手に入れることが困難な人へ、直接無料で食品を配布する会やその行動のことをいいます。

その仕組みや開催者、利用者などは下記のとおりです。
 

フードパントリーの仕組み

フードパントリーは、フードバンクやフードドライブを行っている団体から食品を寄付してもらい、それらを配布しています。個人や企業から直接寄付を受けることもあります。

集まった食品はボランティアスタッフが仕分けし、1世帯分のセット組みを行った上で配布するのが一般的です。
 

フードパントリーの開催者

フードパントリーの主な開催者は、NPO法人や地域の実行委員会です。ボランティアスタッフとして地域の親切な人や児童館の職員、大学生、高校生などが参加し開催しています。

 

フードパントリーの利用者

フードパントリーの利用者は子育て世帯や母子家庭、1人暮らしの高齢者、経済的困難者です。

継続してフードパントリーを利用する世帯もあれば、「コロナ禍で困窮してしまった」「ちょっと苦しいので今だけ」とスポット的に利用する世帯などさまざまです。そのうちの3割〜4割は子どもが3人以上いる多子家庭です。
 

 

フードパントリーが取り組む貧困問題

日本は先進国と比べ、相対的貧困が高い状態です。
相対的貧困とは、自分が住んでいる国や地域の生活水準と比較した際に、収入や資産が少なく生活が不安定な状態をさします。
日本には今、3食を食べることができない貧困家庭が存在し、7人に1人の子どもが相対的貧困状態にあります。
そのため貧困世帯に無料で食品を配布するフードパントリーは、貧困世帯への直接的な支援を行う場として大きな役割を担っています。
フードパントリーによっては、食品と一緒に奨学金や支援相談窓口の資料を渡したり、各世帯の困りごとに応じて他の支援団体を紹介したりすることもあります。
フードパントリーは食品を提供するという直接的な支援だけでなく、貧困問題を根本から解決させるための仕組みづくりにも取り組んでいます。
 

フードパントリーが取り組む食品ロス問題

日本では年間8,000万トン以上の食品が流通しています。
そのうち、まだ食べられるのにも関わらず廃棄される食品、いわゆる食品ロスは522万トン(※)とも言われ、国民一人あたりに換算するとお茶碗1杯分(約113g)の食べ物が毎日捨てられていることになります。
※参考:農林水産省|プレスリリース_食品ロス量が推計開始以来、最少になりました

食品ロスは一般家庭で発生する家庭系食品ロスと、事業活動をともなって発生する事業系ロスの2種類に大別されます。
フードパントリーに寄付される食品の多くは賞味期限が近かったり、パッケージの印刷ミスなどで生産者や販売者から見ると販売することができず、廃棄せざるを得なかったりするものがほとんどです。

フードパントリーの活動では、これらの有効活用をすることができるため食品ロスを防ぐ観点からも注目をあびています。
 

フードパントリーを応援するには

フードパントリーの拠点は国内のさまざまな場所にあり、開催方法や規模についても拠点により異なります。
ぜひ「地域名 フードパントリー」で、お住まい近くのフードパントリーを検索してみてください。
 

 

 

フードバンクとは

フードバンクとはフードパントリーと同じように、安全に食べられるのに賞味期限が近いことやパッケージの印字ミスなどにより捨てられてしまう食品を、困っている人たちに無料で提供する団体や仕組みを指します。

 

フードバンクの仕組み

食品メーカーや小売業、農家などから何かしらの理由で廃棄せざるを得ない食品の寄付を募ります。寄付され集まった食品は、それぞれのフードバンク団体が提供先を検討します。
提供先が決まった食品は宅配を通じて配送したり、フードバンク団体が自分たちで運送したりして届けます。

食品を寄付する企業や団体が直接提供するのではなく、フードバンクが間に入ることで本当に食品を必要としている施設や団体に無駄なく食品を届けることができるのです。
 

フードバンクの開催者

フードバンクの活動が認知されはじめ、行政との連携で運営されている団体も増えてきましたが、いまだ多くの団体はボランティアで構成されています。

 

フードバンクの利用者

現在、フードバンクが食品を提供する先として、もっとも多いのは子ども食堂です。子どもにまつわる貧困が広く認知されはじめたことをきっかけに、子ども食堂自体が年々増えています。
その他の提供先としては児童養護施設や母子生活支援施設、障害者施設、自立支援団体などです。基本的には福祉施設や福祉団体への配布が中心ですが、フードバンク団体によっては生活に困窮している個人や、イベント会場などで食品を配布することもあります。
 

世界のフードバンク

ここからは、世界のフードバンク事情についてご紹介します。

 

アメリカ

世界で初めてのフードバンクは、アメリカのアリゾナ州で1967年に誕生しました。社会貢献への意識が高いアメリカでは企業から継続的な食品寄付があり、また個人からの現金寄付が多いのも特徴の一つです。
このような背景からアメリカでは寄付だけでは不足しがちな肉や乳製品は別途購入され、栄養価の高い食品を提供することを重要視しています。
 

韓国

韓国では政府主導による政府系フードバンクと、宗教団体が母体となる民間フードバンクの大きく2種類に分類されています。
政府系フードバンクは企業からの食品提供が多いものの、利用者の受給資格が厳しいという特徴があります。よって政府系フードバンクの受給対象から外れてしまう生活困窮者を民間フードバンクが補う役割を担っていますが、相互連携ができている状態とは言い難く、両者の連携が強く望まれています。
 

フランス

フランスでは政府が食品を提供する企業へ税制優遇措置をとったり、野菜・果物など集まりにくい生鮮食品を提供したりと国からフードバンクへの手厚い支援があります。
また、フードバンク団体への寄付が集まりやすくなるために、寄付金、寄付食品の相当額の60%まで税制優遇を受けられます。
さらに2016年には大型スーパーを対象に食品廃棄を禁止する法律が交付されました。その影響で、フードバンク団体によっては寄付が増加しているそうです。


 

フードパントリーとフードバンクの違い

フードバンクは団体や企業、個人などから食品を集める役割を担い、フードパントリーや子ども食堂など団体への提供を行っています。
一方フードパントリーは、フードバンクから配布に必要な量の食品のみ提供を受け、個人への配布を主に行っています。
ただ実際は食品の配布のみを行うフードバンクや、個人ではなく団体へ食品を提供するフードパントリーもあり、その違いについて明確な定義はありません。
一般的には食料支援として食品を集めて配布するという活動自体が、フードバンクだと認識されていることが多いです。
 

 

まとめ

本記事ではフードパントリーとフードバンクそれぞれの特徴や違いなどについてご紹介しました。
開催方法や規模などは各団体によって異なる点もありますが、フードパントリーもフードバンクも何かしらの理由で廃棄せざるを得ない食品を、食べるものがなく困っている人へ届ける活動を通じ貧困問題や食品ロス問題を解決に導く役割を担っています。

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