宝くじで社会貢献ができる?宝くじの仕組みを解説

宝くじで社会貢献ができる?宝くじの仕組みを解説


高額当選すれば億万長者になれる”宝くじ”。長い間、庶民の夢として多くの人に愛されてきました。実は宝くじで、夢を買えるだけでなく、社会貢献ができるのをご存じでしょうか。

そこで本記事では、宝くじの仕組みを詳しく解説していきます。
 

1.宝くじとは

宝くじは、日本で当せん金付証票法に基づいて発行されている富くじの一種です。正式名称は「当せん金付証票」で、当選すると当選金が受け取れます。

宝くじは、以下の7種類が販売されています。

●    ジャンボ宝くじ等の普通くじ
●    スクラッチ
●    ロト
●    ビンゴ5
●    ナンバーズ
●    着せかえクーちゃん
●    クイックワン

この中でも当選金が高く人気があるのが、ジャンボ宝くじ等の普通くじです。
ジャンボ宝くじは、組・番号が決められたくじを購入し、抽選で決まった組・番号と購入したくじが一致すると、当選金を受け取れます。

バレンタインジャンボ、ドリームジャンボ、サマージャンボ、ハロウィンジャンボ、年末ジャンボの年5回ほど発売され、最高賞金は10億円にまでなることもあるのです。まさに、夢のあるくじになっています。

さらにジャンボ宝くじは、連番、バラ、指定枚数の3種類の購入方法があります。

連番は、連続した番号の宝くじを購入する方法です。10枚1組で販売されており、組と番号の上から5桁目までが同じ数字、下1桁が0〜9になっています。

バラは、連続していない番号の宝くじが10枚1組で販売されています。下1桁が0〜9になっています。

連番とバラは10枚1組でしか購入できませんが、1枚から指定枚数で購入することも可能です。

このようにジャンボ宝くじは、購入方法から楽しめる宝くじになっています。

ジャンボ宝くじ等の普通くじの購入場所は、「宝くじ売り場」か「宝くじ公式サイト」のいずれかです。

宝くじ売り場で購入する場合、営業時間内に直接足を運んで購入しましょう。売り場によって販売している宝くじの種類が異なるため、事前に確認してから行くのがおすすめです。

宝くじ公式サイトから購入したい場合は、宝くじ会員への登録が必要です。会員情報・支払方法・当せん金の受け取り口座を登録することで会員登録ができます。

会員登録をすると、公式サイトから、24時間いつでも宝くじを購入できます。購入から当せん金の受け取りまで、すべてネットで完結するため、なかなか売り場に足を運ぶ時間がない方にもよいでしょう。

宝くじ会員になると、公式サイトからの購入以外にも、さまざまな特典があります。

まずは、宝くじの継続購入です。指定した購入期間で宝くじが購入できます。ジャンボ宝くじ等の普通くじを発売前に予約することもできるため、宝くじの買い忘れを防げるでしょう。

さらに、宝くじ売り場や公式サイトで宝くじを購入した際に、100円につき1ポイントの宝くじポイントが貯まります。貯まったポイントは、1ポイント=1円として宝くじを購入する際に利用可能です。

そのほか、マイページで宝くじの購入履歴や当せん結果を管理できます。

宝くじの購入場所は売り場と公式サイトの2つですが、公式サイトから宝くじ会員になることで、より気軽に宝くじを楽しめるでしょう。

ではここからは、多くの人に夢を与えている宝くじの歴史と、運営方法、収益金の活用方法を見ていきましょう。
 

歴史

宝くじが生まれたのは、昭和20年。戦時中ということもあり、勝利を祈願して「勝札(かちふだ)」として発売されました。

終戦後の10月に「宝籤(たからくじ)」に名称を変えて政府が発売後、偽物が出回るほどの大人気くじとなったのです。当時は1枚10円で購入でき、1等賞金は10万円でした。

その後、戦争による被害の復興資金調達を図るため、全国各地で地方宝くじが発売されます。昭和25年には全国都道府県の宝くじが出揃い、政府宝くじと地方宝くじの両方が発売されていました。

昭和29年、政府宝くじが廃止となります。それに代わる連合自治宝くじが誕生し、昭和34年には、全国自治宝くじ、東京都宝くじ、関東・中部・東北自治宝くじ、近畿宝くじ、西日本宝くじの5つのブロックの宝くじができました。

昭和30年代後半には、東京オリンピックまでの5年間、宝くじにオリンピックマークを入れて発売し、国家的行事への参加を果たします。

昭和40年には最高賞金700万円、昭和41年には800万円、そして昭和43年、ついに最高賞金1,000万円の大台に乗ります。
宝くじ売り場にはファンの列ができ、発売された宝くじは売れ残りゼロになるほど人気が白熱しました。

その後、宝くじ売り場の混雑を緩和するため、予約制やユニット制といったファンサービスが充実していきます。これにより宝くじファンのニーズに幅広く応えられるようになり、販売実績はどんどん伸びていきました。

昭和54年、年に3回発売されるようになった宝くじ「ジャンボ宝くじ」が生まれます。昭和55年に発売されたドリームジャンボ宝くじは、1等賞金が3,000万円にまで上りました。

ジャンボ宝くじの誕生と同時に、最高賞金はますます高額化。昭和60年には最高賞金7,000万円、平成元年には最高賞金1億円へとなったのです。

その後は、当選確率が高い宝くじや、車や旅行が商品の宝くじ、インスタントくじ、イベント宝くじ、数字選択式宝くじなど、さまざまな種類の宝くじが発売されます。

また宝くじは、平成7年に起きた阪神・淡路大震災の復興宝くじの販売や、平成23年に起きた東日本大震災の復興宝くじの販売など、復興への役割も果たしてきました。

戦争中に勝利を祈願して誕生した宝くじは、今現在、全国どこでも夢を買えるくじへと成長し、復興などの社会貢献にも活用されるくじになったのです。
 

運営

長い歴史を歩んできた宝くじですが、ここで現在の運営方法を見ていきましょう。

宝くじは、個人や会社が発売することは法律で禁じられており、発売できるのは「当せん金付証票法」で定められた全国都道府県、および20指定都市の地方自治体のみです。地方自治体は総務大臣の許可を得て発売元となっており、発売に関する事務作業を銀行に委託しています。

委託された銀行が地方自治体が定めた発売計画に従い行うことは、以下のとおりです。

●    宝くじ券のデザイン選定・印刷
●    売り場への配送
●    広報宣伝
●    売りさばき
●    抽選
●    当選番号発表
●    当選金の支払い

宝くじによって得られた収益金は、抽選会終了後に発売元の地方自治体へ納められ、委託終了となります。
 

収益金の活用

宝くじの収益金は、令和3年度は8,133億円にまでなりました。

収益金は、次の割合で振り分けられています。

●    46.2%(3,758億円)→当選金
●    37.5%(3,048億円)→発売元の全国都道府県・20指定都市の公共事業
●    14.9%(1,210億円)→印刷経費、売りさばき手数料
●    1.4%(117億円)→社会貢献広報費

当選金のほか、収益金の37.5%、金額にして3,048億円が、地方自治体の公共事業に活用されているのです。

宝くじは、私たちの暮らしにも密接に関係していることがわかります。


 

2.宝くじの社会貢献

収益金の多くが地方自治体の公共事業に活用されていますが、具体的にどのようなことに活用されているのか、その一部を紹介します。

 

復興支援

宝くじは、その収益を復興支援として活用しています。

平成7年に起きた阪神・淡路大震災では「阪神・淡路大震災復興宝くじ」や「阪神・淡路大震災復興協賛宝くじ」が発売されました。

平成17年に起きた新潟中越地震では「新潟県中越大震災復興宝くじ」が発売されています。

そして、東北地域に甚大な被害を及ぼした東日本大震災では「東日本大震災復興宝くじ」の発売のほか、東京都でも独自の宝くじを計5回発売しました。そのほか「東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじ」が発売されています。

また、平成28年に起きた熊本地震では、ドリームジャンボ宝くじ・ドリームジャンボミニ7,000万の2つが「熊本地震被災地支援宝くじ」として発売されました。

ここで、宝くじの収益は具体的にどのくらいあり、どのような使い方がされているのか、東日本大震災の宝くじを例に見ていきましょう。

 

東日本大震災復興宝くじ

売上98億円
当せん金41億円
経費16億円
収益41億円

 

東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじ

売上1,104億円
当せん金508億円
経費100億円
収益496億円

収益金は、被災団体へと納められ、学校関連再建費、被災者住宅再建支援金事業、風評被害対策事業などに使われ、復興支援に役立てられています。

 

暮らし

暮らしにかかわる活用法としては、橋や道路の整備や、交通バリアフリー対策などが挙げられます。
実際に、以下のような事業で収益金が活用されました。

●    道路維持管理事業(北海道)
●    県単道路維持修繕事業(秋田県)
●    道路事業(大阪府)
 

子育て

子育てにかかわる活用法としては、学校や公園、図書館、博物館などの整備、子育て支援事業への助成金などが挙げられます。
実際に、以下のような事業で収益金が活用されました。

●    図書館資料整備事業(青森県)
●    芸術文化振興事業(千葉県千葉市)
●    全国高等学校総合体育大会開催推進事業(富山県)
 

バリアフリー

バリアフリーにかかわる活用法としては、障がい者支援、女性キャリアサポート、多文化共生推進事業などが挙げられます。
実際に、以下のような事業で収益金が活用されました。

●    福祉医療対策(群馬県)
●    障がい者芸術・文化活動推進事業(滋賀県)
●    地域経済活性化事業(大阪府堺市)
 

防災

防災にかかわる活用法としては、防災施設の整備、河川改修、防災訓練、防災ヘリコプターの運営などが挙げられます。
実際に、以下のような事業で収益金が活用されました。

●    防災ヘリコプター運航委託事業(岐阜県)
●    防災士養成促進事業(愛媛県)
●    地域防災対策事業(高知県)
 

健康

健康にかかわる活用法としては、AED推進事業、高齢者福祉事業、健診車、移動採血車などが挙げられます。
実際に、以下のような事業で収益金が活用されました。

●    元気に活躍する明るい長寿社会づくり支援事業(宮崎県)
●    高齢化少子化対策事業(埼玉県さいたま市)
●    老人福祉事業(神奈川県横浜市)
 

環境

環境にかかわる活用法としては、樹僕や病虫害防除事業、ゴミ処理施設の整備、リサイクル事業などが挙げられます。
実際に、以下のような事業で収益金が活用されました。

●    自然公園整備事業(長野県)
●    鳥取県自然保育促進事業(鳥取県)
●    環境保全対策・清掃事業(広島県広島市)


 

まとめ

宝くじの歴史や運営方法、収益金による社会貢献活動について紹介しました。

”億万長者になれるかもしれない夢のあるくじ”という印象が強い宝くじですが、収益金の多くが地方自治体の公共事業に活用され、私たちの生活にも密接に関係しています。

宝くじの購入は、夢を買えるだけでなく、社会貢献にもなるのです。
 

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