寄付金控除は年末調整で受けられる?控除対象と受け取り方を徹底解説!

寄付金控除は年末調整で受けられる?控除対象と受け取り方を徹底解説!


「寄付金控除は年末調整で受けられるのか?」「どのような寄付金が控除対象となるのか?」「確定申告の具体的な方法は?」このような疑問や悩みを抱えている人は少なくないのではないでしょうか。

そんな人に向けて「寄付金控除」と「年末調整」「確定申告」について徹底解説します。寄付金控除という制度を正しく理解することで、節税効果を最大限に引き出すことができます。

ぜひ参考にしてください。

 

 

寄付金控除とは?


寄付という行為は、本来は「困っている人を助けたい」「社会の役に立ちたい」という慈善の気持ちから行うものです。そのため、税法では「寄付金控除」という制度を設けて、寄付を行った人に恩恵が及ぶようになっています。また、寄付をする人を増やしたいという国の思惑もあると考えられます。

しかし、特定の個人や私的な団体への寄付は対象外とし、対象となる寄付先は法律や政令などで細かく規定されています。また、無制限に認めないように上限も設定されています。

 

寄付金控除の仕組

寄付金控除は、個人が支出した特定の寄付金がある場合に、寄付金額の一部(寄付額から2,000円を引いた金額)が所得から控除される制度です。その結果、所得金額に税率を乗じて算出される納付すべき税金の額が減少します。

 

ふるさと納税との違い

ふるさと納税も寄付金控除の一種ですが、その仕組みや控除の適用条件には違いがあります。ふるさと納税は、地方公共団体への寄付として取り扱われ、寄付金控除の対象となります。さらに、住民税の税額控除も受けられます。支出額のうち2,000円を超える部分が、所得税の所得控除と住民税の税額控除として適用されます。「自己負担2,000円で高級肉やフルーツが手に入る」と大人気の制度となっています。

ふるさと納税の特徴は以下の通りです:

  • 寄付先の都道府県や市区町村を自由に決められる
  • 2,000円を超える部分が、所得税および住民税から控除される(「ワンストップ特例制度」を申請した場合は住民税からのみ)
  • 特定の自治体への寄付で返礼品を受け取ることが可能

ふるさと納税サイトを使うと、返礼品の比較検討もしやすいのでおすすめです。ふるさと納税の利用者は増え続けており、2022年度には、寄付額9,654億円、利用件数5,184万件となっています。

出典: 総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和5年度実施)」

 

 

寄付金控除は年末調整では受けられない!確定申告が必要!


寄付金控除を受けるためには、基本的に確定申告が必要です。寄付金控除は年末調整に含まれず、控除を受けるためには自身で確定申告をする必要があるので注意しましょう。確定申告により、寄付金控除額を所得金額から差し引くことができます。

給与所得者の場合は、寄付金控除を適用して税額を計算すると、年末調整で確定した税額より減少するので、還付を受けることになります。確定申告書の提出期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日です。還付申告は1月1日から行うことができます。

 

 

 

寄付金控除を受けられる条件


寄付金控除は、所得金額から一定額を控除することで納付する税額を軽減する制度です。そのため、適用を受けるためには条件があり、さらに控除額の上限が設定されています。

また、寄付金によっては、所得控除と税額控除のいずれかを選ぶことができます。さらに、住民税の税額控除も同時に受けられる寄付金もあります。

ここでは、やや複雑なこの制度について、ポイントを押さえながらわかりやすく説明します。

 

控除対象となる寄付金の種類

寄付金控除の対象となるのは、以下の寄付金(特定寄付金)です。公益性・公共性の高い寄付先が、所得税法や租税特別措置法などで細かく規定されています。

  • 国または地方公共団体に対する寄付金(ふるさと納税など)
  • 公益社団法人、公益財団法人などに対する寄付金で財務大臣が指定したもの(各都道府県共同募金など)
  • 特定公益増進法人に対する寄付金(独立行政法人、日本赤十字社、公益財団法人日本ユニセフ協会など)
  • 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭(公益信託地球環境日本基金など)
  • 認定NPO法人に対する寄付金(認定NPO法人フローレンス、認定NPO法人カタリバなど)
  • 政治活動に関する寄付金(政党、政治資金団体など)
  • 特定新規中小会社への投資など

寄付先が控除対象に該当する場合は、通常は領収書等に対象となる旨の記載がされています。記載がない場合は寄付先の団体に問い合わせて確認しましょう。

以下の特定寄付金については、所得控除と税額控除のいずれかを選択することができます。

  • 政治活動に関する寄付金
  • 認定NPO法人に対する寄付金
  • 公益社団法人などに対する寄付金

以下の特定寄付金は、所得税だけでなく住民税の税額控除も受けられます。

  • 地方公共団体に対する寄付金(ふるさと納税など)
  • 住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄付金
  • 地方公共団体が条例で指定する寄付金

出典: 国税庁「タックスアンサーNo.1150 一定の寄附金を支払ったとき」 
    国税庁「パンフレット『暮らしの税情報』寄附金を支出したとき」 
    総務省「ふるさと納税以外の寄附金税制」

 

対象となる控除の種類

寄付金控除(所得控除)

寄付金控除とは、支払った特定寄付金のうち、2,000円を超える部分が所得から控除される制度です。この制度が適用される特定寄付金の額には、総所得金額等の40%までという上限が設けられています。「総所得金額等」とは、給与所得者の場合は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」のことです。 

以下に簡単な例を使って、控除される金額の計算のイメージを示します。 


【計算のイメージ】 

総所得金額等500万円の人が、日本赤十字社に3万円の寄付を行った場合

① 3万円 
② 500万円 × 40% = 200万円 
③    ① < ② なので控除額は、3万円 - 2,000円 = 2万8,000円

※この人の場合は、200万円までの特定寄附金が控除対象となります。控除額は最大で199万8,000円です。

 

寄付金特別控除(税額控除)

寄付金特別控除とは、支払った特定寄付金のうち、一定の金額が直接税額から差し引かれる制度です。支払った金額から2,000円を引いて、30%または40%を掛けた金額を控除することができます。目安として、課税所得(所得金額から所得控除を差し引いた金額)が900万円以下の人は、税額控除を受けた方が有利になります。

注意点として、この税額控除を選択できる特定寄付金は、所得控除を受けられる特定寄付金より範囲が狭く、以下の3種類に限られます。それぞれの控除額の計算方法も示します。

①    政治活動に関する寄付金 
(寄付金額 - 2,000円) × 30% = 政党等寄付金特別控除額

②    認定NPO法人に対する寄付金 
(寄付金額 - 2,000円) × 40% = 認定NPO法人等寄付金特別控除額

③    公益社団法人などに対する寄付金 
(寄付金額 - 2,000円) × 40% = 公益社団法人等寄付金特別控除額

ここで、注意点がいくつかあります。重要なものだけを以下に示します。

  • 上記3種類の寄付金の合計額は総所得金額等の40%が限度。
  • ①の控除額は、税額の25%が限度。
  • ②と③の控除額の合計額は、税額の25%が限度。

所得控除を受ける寄付金と税額控除を受ける寄付金の両方がある場合には、計算方法が複雑になるので、不安な人は税務署に質問するなどの必要があります。

以下に簡単な例を使って、控除される金額の計算のイメージを示します。 
 

【計算のイメージ】

所得税額100万円の人が、共同募金会に3万円の寄付を行った場合

① (3万円 - 2,000円) × 40% = 1万1,200円

② 100万円 × 25% = 25万円

③    ① < ② なので控除額は、1万1,200円

出典: 国税庁「パンフレット『暮らしの税情報』/寄附金を支出したとき」

 

対象となる寄付金額

確定申告で寄付金控除を受けるためには、特定寄付金の額が2,000円を超える必要があります。この制度が始まった当初は10,000円を超える寄付が対象でしたが、その後5,000円に引き下げられ、さらに2,000円まで引き下げられました。これにより、控除が適用される人が増えて、より身近な制度になりました。

 

控除限度額について

寄付金控除(所得控除)の対象となる特定寄付金の額には、先述の通り限度額があります。限度額は、その年の総所得金額等の40%です。例えば、総所得金額等が300万円の場合、控除対象となる限度額は120万円です。

寄付金特別控除(税額控除)の限度額は、先述の通り少し複雑になっています。税金の額から直接控除することから、金額が大きくなりすぎないようにある程度抑制する必要があるためと考えられます。

 

他の控除との兼ね合い

他の所得控除がある場合に、どのような順序で総所得金額等から控除すればよいのかを見ていきます。

明確に規定されているのは、所得税法第87条第1項だけです。要約すると「雑損控除が他のすべての控除に優先して適用される」というものです。雑損控除は災害などの被害があった場合に確定申告を行うことで適用され、控除しきれない場合は3年間の繰り越しができます。他の控除項目は繰り越しできません。

基本的に雑損控除以外の控除項目は、金額が過大になって控除しきれないという事態は起こりにくいです。災害で被害を受けた人以外は、申告書に記載されている順に従って控除すれば問題ありません。

 

 

寄付金控除を受けるための手続き


基本的に、年収2,000万円以下の給与所得者は、副業収入や不動産収入がある人を除き、確定申告をする必要はありません。年末調整によりその年の所得税が精算され納税が完結するからです。しかし、寄付金控除は年末調整に含まれておらず、これらの控除を受けるためには、自身で確定申告をする必要があります。

 

ふるさと納税のワンストップ特例制度は確定申告は不要

ふるさと納税に関しては「ワンストップ特例制度」を利用することで、確定申告が不要になります。この制度を利用すると、確定申告を行わなくても控除が受けられるというメリットがあります。この制度のポイントは以下の通りです。

  • すべての寄付先の自治体に「ワンストップ特例申請書」と本人確認書類(マイナンバーカードのコピー等)を提出する必要がある。
  • 申請書は、総務省のサイトからダウンロードするなどの方法で入手する。
  • 申請期限は、原則として寄付をした翌年の1月10日。
  • ワンストップ特例制度では、所得税での所得控除は行われず、2,000円を差し引いた全額が翌年の住民税の税額から控除される。

ただし、この制度を受けるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • ふるさと納税で寄付を行った自治体の数が5団体以内であること
  • 医療費控除などを受けるために確定申告をしないこと

いずれかを満たさない場合は、確定申告により寄付金控除の適用を受ける必要があります。その場合は、所得税の所得控除と住民税の税額控除の両方を受けることになります。ワンストップ特例制度を適用する場合と適用しない場合とで、実質自己負担が2,000円というのは変わりません。

 

具体的な手続きの流れ

必要書類の準備

寄付金控除を受けるためには、以下の書類を準備する必要があります。

  • 寄付金受領証明書:寄付を行った団体から発行される証明書です。確定申告書に原本を添付する必要があります。
  • 確定申告書:1年間の所得金額・控除金額・税額を記入し、申告・納税するための書類です。
  • 給与所得の源泉徴収票:年末調整後に勤務先から発行される書類です。通常は12月の給与明細に同封されます。

確定申告書は、所轄の税務署にもらいに行くか郵送してもらいます。国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。近年利用者が増加しているe-TAXを使えば、控除額が自動計算され(所得控除・税額控除の有利判定も)、簡単に申告書の作成・提出・納付まで行うことができます。さらに受領証明書の添付も不要になりますが、5年間の保存義務があります。

源泉徴収票には、「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」が記載されています。それらの金額は、申告書の所定の箇所に正確に転記する必要があります。なお、源泉徴収票は税務署に提出する必要はありません。

その他、以下の書類も準備しておくと手続きがさらにスムーズになります

  • マイナンバーカード
  • マイナンバーカードがない場合は、通知カードと本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 寄付金特別控除(税額控除)を受ける場合は、以下のの3種類の計算明細書のうち必要なもの

「政党等寄附金特別控除額の計算明細書」 
「認定NPO法人等寄附金特別控除額の計算明細書」 
「公益社団法人等寄附金特別控除額の計算明細書」

 

寄付金控除の申告書の記入方法

確定申告の際には、寄付金控除に関する項目はもちろん、記入すべき項目をすべて正確に記入する必要があります。以下に基本的な手順を示します。

寄付金特別控除についても説明します。

  1. 第二表「寄附金控除に関する事項」に、寄付先の名称と特定寄付金の額(寄付金控除の対象となる合計額)を正確に記入する。ふるさと納税の分も合算する。税額控除を受ける分は除く。 
     
  2. 総所得金額等(第一表「所得金額等」の「合計」の金額)の40%と、1. の金額を比較して、少ない方から2,000円を引いた金額を第一表「寄附金控除」の欄に記入する。 
     
  3. 第二表「住民税・事業税に関する事項」の「住民税」の項目に寄付金に関する事項を記入する。この記入は住民税の税額控除を受けるために必要。 
     
  4. ・「都道府県、市区町村への寄附」の欄には、ふるさと納税をした金額を記入する。 
    ・「共同募金、日赤その他の寄附」の欄には、共同募金会や日本赤十字社への寄付金があれば記入する。 
    ・「都道府県条例指定寄附」、「市区町村条例指定寄附」の欄にも、条例で指定した寄付金があれば記入する。 
     
  5. 寄付金特別控除を受ける場合は、以下の流れになる。 
    ・3種類の計算明細書を使って控除額を計算する。 
    ・控除額の合計を第一表「政党等寄附金等特別控除」の欄に記入する。 
    ・第二表「特例適用条文等」の欄に、以下の様に記入する。 
     政党等寄付金特別控除…「措法41の18」 
     認定NPO法人等寄付金特別控除…「措法41の18の2」 
     公益社団法人等寄付金特別控除…「措法41の18の3」 
    ・第二表「住民税・事業税に関する事項」の「住民税」の項目に寄付金に関する事項を記入する。この記入は住民税の税額控除を受けるために必要で、記入方法は3. と同じ。 
     
  6. 記入漏れがないように、他の項目もすべて正確に記入する。 
     
  7. 必要書類(寄付金受領証明書、マイナンバーカードのコピー等)を添付する。 
     
  8. 申告書を所轄の税務署に提出する。

マイナンバーカードのコピーは表と裏の両方が必要です。マイナンバーカードがない場合は、通知カードと本人確認書類のコピーでその代替とします。 
 

【具体的な記入例】

総所得金額等500万円の人が、日本赤十字社に3万円の寄付を行い、所得控除を受ける場合(税額控除は選択不可)

  • 第二表「寄附金控除に関する事項」に、「日本赤十字社」と「30,000」と記入する。
  • 以下の計算をして、第一表「寄附金控除」の欄に「28000」と記入する。 
    ①    3万円 
    ②    500万円 × 40% = 200万円 
    ③    ① < ② なので控除額は、3万円 - 2,000円 = 2万8,000円
  • 第二表「住民税・事業税に関する事項」の「住民税」の「共同募金、日赤その他の寄附」の欄に、「30,000」と記入する。

※上記方法は2024年5月末日時点の情報です。申告方法は変更になることがありますので、必ず国税庁HPでご確認ください。

 

 

不用品を寄付して控除を受けられるモノドネとは?


モノドネは、不要になった物品を寄付することで再利用し、それによって寄付金控除の対象となる制度です。この制度を通じて、捨てることなく再利用される物品が増え、地球環境への負担を減らすことが期待されています。

モノドネでは、寄付した品物の査定額が寄付金額となり、 対象法人に寄付された場合にこの寄付金額が寄付金控除対象となります。

利用方法は以下の4ステップでとても簡単です。

  1. 寄付したい団体を選ぶ
  2. 寄付申し込みする
  3. アイテムを発送する、または買取王国系列店に持ち込む
  4. 査定額のメールを受け取る

気になる方はこちらより詳細をご確認ください。

 

 

まとめ

寄付金控除は、寄付を行った人の税負担が軽減される非常に有益な制度です。

控除を受けるためには、特定の条件を満たす必要があります。一般的に、寄付金控除は確定申告が必要ですが、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用する場合は確定申告が不要になります。控除対象となる金額や寄付先がわかる証明書などはしっかりと確認し準備しておきましょう。

そして、不用品を寄付して控除を受ける「モノドネ」といった制度も存在しますので、自分に合った方法を選択することが重要です。これらの情報を正しく理解し、賢く活用することで、自身の税負担を軽減しつつ社会貢献も果たすことができます。

 

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手続きは3ステップ

  1. 寄付したい団体を選ぶ

    モノドネ掲載団体の中から、あなたが応援したい活動団体を選びます。

  2. 申し込みをする

    申し込みフォームに必要事項を入力し、完了メールを受け取る。

  3. 寄付品を発送する。

    メールに記載された発送先へお品を発送する。

    ※買取王国系列店舗への持ち込みも可能です(一部対象外店舗あり)。

発送されたお品を専任スタッフが査定し、その査定額全額があなたの選んだ活動団体への寄付金になります。 査定額はメールにてお知らせします。
選んだ活動団体が寄付金控除対象団体であれば、寄付金控除を受けられます。

※寄付金控除を受けるには領収書が必要ですので、お申し込みの際に領収書希望を選択ください。

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