患者とその家族を支援する団体の活動内容をご紹介します。

患者とその家族を支援する団体の活動内容をご紹介します。

患者を支援する団体

患者を支援する団体とは「患者とその家族、支援者によって構成され、療養環境の改善を目的とした定款や規則(会則)によって定義された役割を持つ支援団体」です。

日本の患者を支援する団体は「患者会」であることが多いです。患者会とは、自助または共助のために集まった民間のコミュニティです。会員は基本的に「持病を抱える患者」から構成されています。団体規模は会員数数人規模から10万人以上規模までと様々で活動規模も団体によって大きく異なります。2004年時点で日本には約1500の患者会(支部を含む)があり、インターネット上でのコミュニティは約170ほどであったと言われています。インターネットが普及した現在は3000以上あるといわれています。

さらに役割や取り組みなど、もうすこし患者を支援する団体について具体的に見ていきましょう。
 

 

患者を支援する団体とは?

患者への支援は、行政機関、自治体、民間団体(NPOや企業等)など、さまざまな場所から行われています。その中でも、患者同士が集い、自主的に運営している団体が「患者会」です。
地域ごと・病気ごとに会が存在し、情報の共有、講演会やセミナーなどを実施しています。

患者会は、セルフヘルプグループと呼ばれることもあります。
セルフヘルプグループも、同じ困難を持つ人々がお互いに援助しあうために集まり運営されています。難病を中心とする患者会に比べ、依存や嗜癖(アルコールや薬物など)に関するグループも含まれます。

 

役割

患者を支援する団体の役割は、大きく分けて3つです。

1.    自分自身の病気(難病)を正しく理解すること
2.    同じ病気をもつ患者・家族どうしでの助け合い
3.    療養環境の改善・整備を目的とした、社会への働きかけ


1.    自分自身の病気(難病)を正しく理解すること

患者会の一員として特に重要なこと、それが「患者本人が自分の病気(難病)について正しく理解すること」です。患者会は「同じ病気を持つ患者への支援」「療養環境の改善」を目的とします。専門分野の医師やボランティアのもと、セミナーや講習会、勉強会などを通じ、患者がその疾患についての理解を深めます。
誤った情報や認識では、次の患者やその家族へ共有することはできません。
 

2.    同じ病気をもつ患者・家族どうしでの助け合い

難病と診断されたとき「なぜ私だけ…」「今後どうすればいいの?」「治るのかな…」と病気のことが頭の中をぐるぐると駆け巡ります。また、病気や手術のことを、安易に家族や会社の人に話すこともできません。そのため、患者は孤独である場合が多いのです。
同じ疾患を持つ方、またはその家族が助け合うことで、「ひとりではない」と患者の支えになります。患者会では情報交換や些細な相談ができる場として、お茶会などの交流会を開いています。
 

3.    療養環境・整備を目的とする社会への働きかけ

難病を抱えると、これまでの生活、仕事などは一変します。また、偏見や差別にさらされることもあります。ときにはその困難さから自ら命を絶ってしまう方もいるのです。おなじ不幸を繰り返さないためにも、療養環境や整備を目的に、社会へ働きかけることも会の重要な役目と言えるでしょう。
たとえば行政や医療機関、地域やほかの患者会と連携し、啓発活動などを行います。
>>出典:日本の患者会

 

歴史

「患者会」「セルフヘルプグループ」など、初めて聞く人も少なくないと思います。

先に述べたように、患者を支援する団体の役割は今では患者自身が病気に向き合い、またこの先同じ病気の患者・家族が幸せに社会で暮らせるために社会へ働きかけることにありますが、その始まりは、患者運動と呼ばれる患者たちが自分たちの命と尊厳を守るための闘いにありました。

明治政府により「コレラ」「ハンセン病」の患者たちは人権を無視された扱いを受けました。命さえ奪われる環境の中で、「生きたい」「治りたい」というシンプルで強いねがいで患者同士で繋がり行動を起こします。大正15年に九州のハンセン療養所で患者による自治会が結成され、これが患者団体の始まりといわれています。患者自治会の結成は全国に広がり、それは自治会同士の横の繋がりへ発展していきます。

第二次世界大戦後の昭和21年、患者によって全国レベルの組織が相次いで結成されました。さらに全国レベルの組織同士が統一する動きが起き、昭和22年には日常生活の要求や、法律・制度の改善など、社会に大きく貢献した「日本国立私立療養所患者同盟(のちの日本患者同盟)」が設立されました。

その後、高度経済成長時代に労働災害、企業公害、薬害、食品公害など社会は国民の健康を脅かす状況になり、それと合わせて昭和40年前後から昭和50年前後の10年間に多くの患者団体が結成されました。

その後も、時代の流れと共にさまざまな疾患が見つかり、その疾患に関する患者会やグループが患者により設立されていきます。

 

取り組み

患者会は、自分の病気の理解、患者とその家族の生活を支えるために、多岐に渡る活動を行っています。多くの患者会がおこなっている取り組みの中から下記7つをご紹介します。

1.    個別相談
2.    情報交換会・交流会
3.    勉強会
4.    支援プログラム
5.    会報発行
6.    イベント開催
7.    社会参加

 

1.    個別相談

「なかなか良くならない」
「突然の診断で、何をどうして良いかわからない…」

当事者には周りに話せない悩みを抱えています。誰かに聞いてほしいと思っても、病気のこととなると家族、友人、知人、会社の同僚に話すのは躊躇してしまうもの。そんなときに患者さんの支えとなるのが、1対1で話せる「個別相談」です。電話やメールで行われる個別相談は、一般的には「患者同士」で行われます。医師に相談しにくいことや、私生活で周囲に話せない内容も気軽に話すことができます。

また「ピアサポーター」が関わることもあります。ピアとは「仲間」という意味です。ピアサポーターは「情報」「仲間」「地域社会」との共有を役割とし、自分自身が過去に持っていた病気やその経験を活かして、同じ立場にある仲間をサポートする人たちです。こうした活動は「ピアサポート」と言います。近年、一部の医療現場にて取り入れられつつあります。

 


2.    情報交換会・交流会

同じ病気や症状をもつ患者さんどうし、あるいはその家族が情報を共有したり相談するなど、気軽に話したりできる場のひとつです。
一部の団体では茶話会(お茶を飲みながら、気軽に話し合う集まり)とも呼ばれることもあり、大学のサークルのような感覚で気軽に参加できるのも特徴です。
 

 

3.    勉強会

専門分野の医療者が講師となって、病気に関する基礎的な知識(ケアの方法など)の習得、関わる病気や症状に関する最新情報を知る場を勉強会として提供しています。
患者さん本人やその家族が疾患に関する正しい知識を持つことで、安易に考えすぎるのを軽減したり、怖がりすぎてパニックを引き起こしたりすることを防ぐことができます。


 

4.    支援プログラム

支援プログラムとは、患者とその家族のQOL(生活の質)を向上させるために、さまざまな形でサポートする「会独自の支援」です。団体(患者会・患者サロンなど)のメンバーや疾患に関する専門家スタッフ、体験者のボランティアを通じて行われます。支援プログラムには、人材育成、参加費無料の講座・講演会・セミナー、就労支援など、その支援は多岐に渡ります。
たとえば一部の患者会では、次のような支援プログラムを提供しています。

・患者が医療に関する知識や最新情報を得るとともに、同じ病気を持つ患者やその家族を支えることを目的とした「リーダー育成プログラム」
・各疾患の専門講師による「リラクゼーションプログラム」や「医療相談会」
・患者会や団体の立ち上げやその活動を後押しする「患者会・患者支援団体の活動支援プロジェクト」、など

また支援プログラムを受けるために、説明会への参加、メンバー登録を必要とする場合があります。
説明会では、大まかな取り組みや団体ごとに決めた約束事などを患者に伝えます。内容を聞き、十分に納得したらメンバー登録する流れです。ただし説明会に参加したからといって、必ずしもメンバー登録する必要はありません。


 

5.    会報発行

会報とは、会の現状や運営方針、これまでの実施した活動内容を会員に知らせるための文書や雑誌のことです。ほとんどの患者会および支援団体では、この会報発行をおこなっています。情報にうまくアクセスできない患者さんも多いことから、会の情報や疾患について少しでも多く知れる会報は重要な役目を果たしています。
具体的には、総会報告、活動報告、病気に関するニュースや出来事、勉強会開催などイベントに関するお知らせ、医師などの専門家によるコラム、特定の制度についてなど、患者さんに役立つさまざまな情報が書かれています。
会報の発行頻度は、数ヶ月に一回、年一回など、団体によって異なります。また会報には、患者以外でも閲覧できる会報と、患者会の会員のみ閲覧できる会報があります。


 

6.    イベント開催

会報でも触れましたが、患者どうしで情報交換し、交流を深める「各種イベント」の開催も実施しています。ほとんどのイベントは参加費無料のため「孤独になりがち」な患者さんたちでも気軽に参加でき、またイベントで知り合った同じ疾患を持つ方と繋がれるといった特徴があります。
イベントの種類もさまざまです。代表的な物としては、先生や患者さんによるトークショー、食事会、悩み相談会、ワークショップ、各施術に関する体験説明会、ウォーキング(ウォークラリー)などがあります。最近は新型コロナウイルス感染拡大を考慮して、オンラインでのセミナーやイベントも増えてきています。
 

 

7.    社会参加

病気を持っている・持っていないにかかわらず、日本の就労に関する問題や悩みは尽きません。

日本における一般の就業率は、令和3年の時点で男性83.9%、女性71.3%(いずれも15〜64歳)に対して、難病者の就業率は60%です。その内「疾患が理由で採用されなかったと感じたことがある」と回答した人が78%。一般の民間就業者の年収で最も多いのは「200万〜400万未満」ですが、難病の就業者では「200万未満」です。このように病気と就業は、密接な関係にあるのです。
出典:「男女共同参画白書 令和4年版」(内閣府)
出典:難病者の社会参加を考える研究会「難病者の社会参加白書(2021)」

患者会や支援団体によっては、患者さんへの「社会に対する働きかけ」を実施しています。行政、自治体、団体、企業などと連携を図り、ひとりでも安心して社会参加できる取り組みが行われています。

社会参加に関する取り組み例
・実態調査・・・患者の状況を把握して、社会参加への取り組みを促進させる
・理解啓発・・・患者への理解を職場から得るための啓発活動を行なう
・就労モデルづくり・・・患者のニーズを理解して、ひとりでも多く社会参加を支える
・アドボカシー活動・・・ひとり一人が患者の問題について知り、次の患者のためにできることを訴えていく、など

たとえば就労モデルでは、難病の子どもを持つお母さんを支える「患児ママ就労支援プロジェクト」や、働きたくても働けない患者に向けて、「職場見学会」や「職場体験実習」などを通じた就労意欲を後押しする支援をおこなっています。
また認知症患者に向けた社会参加の活動では、天気の良いに子どもたちと一緒に防犯パトロールを兼ねた散歩をしたり、利用者本人の意思で自動車販売店での洗車やチラシ(フリーペーパーなど)のポスティングの仕事に参加し「謝礼」を受け取るなどの事例もあります。

患者に向けた社会参加のきっかけ作りは、患者が本来持っている能力を発揮し、自立した社会生活が送れるように支援することが目的です。ひとりでも多くの患者が「この社会に貢献できた」と前向きになることで、その土台を生かして次の患者に繋げることができます。

社会参加への支援は、会や団体が果たす社会的役割のひとつとも言えるでしょう。

 

まとめ

患者を支援する患者会などの団体と、その取り組みなどを詳しくご紹介しました。
本記事のまとめです。

・患者を支援する団体は患者とその家族、支援者が中心となる団体を指し、療養環境の改善を目的としている
・患者を支援する団体は、同じ病気の患者どうしが集まって”患者の支援活動”をする
「患者会」であることが多い
・患者を支援する団体の存在意義は、患者を孤独にさせず、またQOL(生活の質)を向上させるためにさまざまな活動やプロジェクトで支えること

近年は新型コロナウイルス感染に伴い、多くの患者会が「実際に集まることができないと」と問題を抱えています。こうした背景を踏まえ、オンライン患者会を始めるケースも目立ってきました。
団体や各サービス提供を続けるには、NPOなどと同じく資金繰りが必要です。患者会や患者サロンなどは、世間一般からするとまだまだ認知の低い団体と言えます。そのため、どれだけ国民から理解を得て、寄付金や援助などを受けられるのかが大きな課題となるでしょう。
「過去に自分や周りが同じような体験をしてことがある」
患者会や難病の支援に関して興味を持たれていた方は、こうした患者の意志で始まった団体を応援してみるのも一つですね。
 

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