アップサイクルとは?5R(リサイクル・リユース)との違い、企業取り組みまで詳しく紹介

アップサイクルとは?5R(リサイクル・リユース)との違い、企業取り組みまで詳しく紹介

 

住宅、車、洋服、食器、木材、プラスチック、アルミなど。   
世の中のあらゆるモノや素材には、人と同じくいのちが宿り、またいつか寿命を迎えます。

SDGs目標の12番目には「持続可能な消費と生産パターンを確保する」があります。   
現代において、地球上に溢れかえっているモノをどのように活かすのかは使うひと・作るひと次第とも言えるでしょう。

みなさんは「アップサイクル」という取り組みをご存じですか。   
昨今では「持続可能な」という意味をもつサステナブルが注目を浴びていますが、このアップサイクルもサステナビリティな社会を実現するために必要不可欠なのです。

今回のモノドネでは、アップサイクルの概念、歴史、企業による取り組み、5Rや反対語である「ダウンサイクル」との違いを詳しく解説しました。

 

アップサイクルとは?

アップサイクル(upcycle)とは、本来なら捨てられるはずの廃棄物にデザインやアイデアなど「新しい付加価値」を持たせ、新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせることです。   
ファッション・家具・建築など、さまざまな業界から注目される取り組みです。

アップサイクルの歴史

1994年10月11日、ドイツの自動化技術企業「ピルツ」のライナー・ピルツ氏が、ドイツメディア salvo News に向けて「アップサイクル」と「ダウンサイクル」について初めて語ったのが、のちに注目される発端と言われています。

さらに遡ると、1800年代にアメリカの思想家ラフル・ワルド・エマソンは「自然界には寿命を終えて捨てられるものはない。そこでは最大限利用された後も、それまで隠れていた全く新しい次のサービスに供される」と言葉を残しています。

昨今メディア等でよく目にする「アップサイクル」は、じつは歴史深い取り組みだったんですね。

 

なぜアップサイクルは必要なのか

では、なぜアップサイクルが世の中に必要とされているのでしょうか。   
得られるメリット・デメリットでそれぞれ詳しくみていきます。

メリット1:製品にさらなる価値が付くこと

新しい形状で生まれ変わることは、もとの製品にさらなる価値がつくことを意味します。   
また、アップサイクルは商品以外の価値も期待できます。

たとえばCo2削減や環境汚染などの社会問題に取り組む姿勢は、サービスは企業そのものの価値、信頼向上にも繋がるでしょう。

メリット2:製品そのものの寿命が延びる

モノは捨てれば終わりですが、アップサイクルビジネスを取り入れれば製品の寿命を延ばせます。「中古品を買う」「他人にゆずる」「買取に出す」などのリユースの概念にも近いでしょう。

いずれの形にしてもモノの寿命を延ばすことは、持続可能な社会を築くための課題です。

メリット3:既存の商品にはないユニーク性・デザイン性が生まれる

既存の製品から作り出すアップサイクル製品では、ゼロから作る既存商品にないユニーク性・デザイン性が生まれます。また斬新なアイデアから「企業のPR」にもつながるケースも少なくありません。

メリット4:省エネルギー効果

製品をそのまま活かすことで、分解・溶解して原料にもどす際のエネルギーを抑えられます。無駄なエネルギーをなくすことは、地球への負担の軽減につながります。

メリット5:コスト削減

廃棄物をリサイクルして原料に戻すには、多大なコストが必要です。アップサイクルを取り入れることで、工場の手配がなくなるほか「素材の仕入れコスト」を抑える効果もあります。

デメリット:安定した素材の回収が難しい

アップサイクル製品のもとは「廃棄物」です。   
企業から出る廃棄量は販売がすべて終わらないと算出ができません。予測ができず、安定的に素材を集められないことは大きなデメリットといえるでしょう。

 

企業によるアップサイクルの取り組み

ファッション・建築・家具など、さまざまな業界によるアップサイクルの取り組みを紹介します。

ファッション(企業別)

  • フライターグ   
    マーカス・フライターグとダニエル・フライターグ兄弟が創立した、アップサイクルの元祖とも言える企業。実際の中古トラック・自転車のチューブやシートベルトから作ったバッグが有名です。素材に染み込んだ傷や汚れもそのまま活用し、世界にたった一つだけの製品 を生み出しつづけています。   
     
  • ユニクロ   
    ファッションメーカーのユニクロ(UNIQLO)では、「アップサイクリングプロジェクト」による支援を実施。   
    ユニクロフィリピン事業を中心とし、店舗のジーンズすそ直しをした際にい出るハギレを利用したトートバッグ・ポーチを製作。   
    またNGOとの連携によって実現した、ホームレスや難民による製作も話題となりました。   
    2017年には、ユニクロ事業の「匠」から縫製指導を受けた20人の手によって約2,400個のグッズを製作します。   
     
  • 無印良品   
    洋服や生活雑貨をはじめ、シンプルで長く使える製品を数多く取り揃える無印良品は、2015年に「Re MUJI(リ・ムジ)」をスタート。自社で販売した衣料品を回収、ほつれや汚れ除去して、別の服とつなぎ合わせた「つながる服」を販売します。   
    また新宿店では、金継ぎ教室の「つぐつぐ」と提携して、衣類と比べてリサイクルやリユースが難しい陶器の金継ぎサービスを開始。思い入れをさらに重ねるアップサイクルの取り組みと言えます。   
     
  • ビームス   
    日本を代表するアパレルブランド「ビームス(BEAMS)」からも、アップサイクルブランド「ビームスクチュール(BEAMS COUTURE)」を展開。   
    倉庫に抱えていたデッドストック品に古着やリボンなどのパーツを付け加えて、「新たな価値を持つ一点モノ」を販売。   
    そのほかにも、デッドストック品から完全一点モノのトートバッグを製造、販売する「リ・ビームス(ReBEAMS)」を立ち上げます。

建築・家具業界

  • 株式会社大林組   
    株式会社大林組では、「アップサイクルブロック」という資材を開発しました。   
    このアップサイクルブロックは、東日本大震災の時に発生した木材・ゴミ・金属などのがれき残渣を使用しアップサイクルしたものです。   

    自社にて「有害物質を抑えた方法」を考案し、環境にも安全な建築資材として注目を浴びています。   
     
  • 瀬戸内造船家具プロジェクト   
    瀬戸内造船家具プロジェクトは、オズマピーアール、浅川造船、ConTennaの3社共同で発足した家具作りプロジェクトです。   
    これまで廃棄・焼却処分されてきた造船古材を活かして、アップサイクル家具を考案、製作します。   
     

イベント業界

  • HELLVIT合同会社   
    店舗、イベント、個人宅などの空間デザインを手がける「HELLVIT」では、廃材や古材を活用した外装・内容をデザインし施工します。   

    近年は、古民家や古くなったアパートの内部をキレイに施工して住みやすさを提案する「リノベーション」も人気です。   
    このリノベーションも、アップサイクルビジネスの一つと言えるでしょう。

 

アップサイクルと5Rの違い

サステナブルな社会を作るためには、5Rも忘れてはいけません。   
5Rは、リデュース、リユース、リペア、リフューズ、リサイクルからなる略語です。

なかでも「リサイクル」と「アップサイクル」の違いに混乱するケースも多いです。

リデュース

リデュースとは「ゴミとなるものを減らすこと」です。

  • 使用頻度の少ないものは他人とシェアする
  • 必要のないものは最初から買わない
  • マイバッグの持参、など   
    >>リデュースとは?(https://monodone.com/article/45)

リユース

リユースとは「使い捨てせずに、そのままの状態で繰り返し使うこと」です。

リペア

リペアとは「手を加えてアレンジすること」を意味し、加工によってはリメイクとも言われます。   
同じく手加えるアップサイクルとの違いは、リペアやリメイクは「価値がアップグレードされていない」ものも含む意味合いがあることです。

  • ダメージを補強する
  • ワッペンをつける
  • 色を塗る、染める、など

リフューズ

リフューズとは「ごみになるものを断ること」です。   
廃棄物を減らす点ではリデュースと似ていますが、リフューズは最初からゴミとわかっているものは、たとえ無料でももらわないことを意識します。   
最近はコロナの影響から価格競争も激しく、クーポンの配布も多くなってきましたね。

個人ができることとして、たとえばチラシやクーポンはデジタル版(携帯のアプリ・LINEなど)に移行して、紙のチラシはもらわないなどの工夫も良いでしょう。

  • DM(ダイレクトメール)受け取りの拒否
  • むやみに店舗でのチラシ・クーポンを受け取らない
  • サービス品、試供品、おまけ等をもらわない

リサイクル

リサイクルとは「廃棄物・不用品を製品が作られる前の資源に戻し、再度、製造すること」です。   
アップサイクルとの大きな違いは「元の製品」を活かすかどうかです。   
リサイクルは一度「粉砕」「融解」で素材にしますが、アップサイクルでは製品をそのまま活用します。

反対語「ダウンサイクル」

アップサイクルの反対語として、ダウンサイクルという言葉があります。   
ダウンサイクルとは、元よりも価値や質が下がり、最後はゴミとなる「継続できないリサイクル」のことです。

 

  • Tシャツから雑巾をつくる
  • チラシ・新聞紙から再生紙をつくる
  • 瓶を砕いてグラスウールに使用、など

 

素材やアイデアに命を吹き込み、新しいアートを生み出す

モノドネと提携する認定NPO「法人ポパイ」では、ソザイ・キフで寄せられたまだ使える素材にふたたび命を吹き込み、あたらしいアート作品を生み出しています。

ソザイ・キフは、法人ポパイがおこなうプロジェクト「MO-YA-COキフ」の一つです。絵の具、鉛筆、キャンバス、木や年度、おもしろい材質の紙、大切にとっていた包装紙、布切れ…。これらは、まだまだ使えるものばかりです。

ごみで捨ててしまう前に、ぜひ支援を検討してみましょう。

また法人ポパイの「MO-YA-COキフ」は、お金や物資だけでなくさまざまなカタチで支援を呼びかけます。

 

  • アイデア・キフ
  • ギジュツ・キフ
  • コラボ・キフ

 

>>認定NPO「法人ポパイ」紹介ページ(https://monodone.com/article/44)

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